研究施設

船舶海洋性能工学実験棟 (EN80)

船舶運動性能試験水槽

舶運動性能試験水槽

船舶運動性能試験水槽と模型船曳引車

舶運動性能試験水槽

造波機による造波の様子

船舶運動性能試験水槽の概要

船舶運動性能試験水槽とは,船舶や海洋構造物等の浮体の運動に関する実験設備です。模型曳引車により船舶や浮体構造物の模型を曳引することにより,運動中の浮体に作用する流体力の計測を実施したり,水槽内で模型を自由に運動させることにより,静水中や波浪中における浮体の運動の計測を行うことが可能であるため,浮体の運動メカニズム理解のための教育に適しています。

船舶運動性能試験水槽は,水槽本体と模型曳引車,プランジャー型造波装置によって構成されています。水槽本体は長さ38.8m,幅24.4m,水深2mです。水槽底部を高精度で平坦に仕上げたことにより,世界的にも数少ない浅水域を対象とした浮体運動の実験が実施可能な水槽となっています。

実施試験

拘束模型試験

浮体の運動特性をコンピュータを利用してシミュレーション計算等によって考察するためには,まずはじめに運動中の浮体に作用する流体力の特性を把握する必要があります。また,流体力学の知識を利用して,浮体に作用する力を理論的に推定する方法に関しても多くの研究が行なわれていますが,理論計算結果の精度の確認のためにも,模型試験によって浮体に作用する流体力の計測を行なうことが不可欠となります。

浮体に作用する流体力は,模型船曳引車を用いた拘束模型試験によって計測されます。平水中あるいは波浪中において模型船を様々な姿勢で曳航することにより,航行中の模型船の船体や舵等に作用する流体力を計測することができます。

自由航走模型試験

浮体に作用する流体力の計測とともに,模型船を無線コントロールによって自由に航走させ,運動履歴を解析する実験 (旋回試験,Z 操縦試験) も行なわれます。模型船の位置は模型船曳引車に設置された CCD カメラにより模型船を追尾することによって計測します。また,模型船の回頭角の検出にはジャイロコンパスを利用しています。

高速回流水槽

高速回流水槽

高速回流水槽の観測部

高速回流水槽

抵抗試験の様子

高速回流水槽の概要

回流水槽とは,垂直に設置された閉管路内の水をインペラで循環させることにより流速を発生させ,観測部として閉管路上部の一部に設けられた開口部に模型船などの実験対象となる物体を固定して,物体まわりの流場および物体に働く流体力の計測を行う実験設備です。回流水槽においては,船の運航経費と密接な関係にある船の抵抗・推進性能に関する実験のみならず,多様な流体実験が実施可能であり,物体まわりの流れの観察が容易に行えるため,流体現象理解のための教育に適しています。

高速回流水槽は,長さ21m,幅約3m,高さ約7m(観測部は長さ6m,幅約2m,水深約1m)であり,高速船の研究にも対応できるように,最大流速を国内最高レベルの3.3m/secと設定しています。

実施試験

  • 抵抗試験(船体に働く抵抗を計測する)
  • プロペラ単独試験(一様流中でのプロペラの推力,トルクおよび効率を計測する)
  • 自航試験(模型船に装着したプロペラを回転させるとともに,模型船を曳航し,模型船が自力で航行する状態を作り出すことにより,船の推進性能を求める)
  • 波形解析(模型船が造る波の高さを計測し解析することにより,船体に働く造波抵抗を求める)
  • 伴流計測(船尾に装備されたプロペラが作動する流れ場を知るために,模型船船尾付近の流速分布を計測する)

船舶海洋性能工学実験棟 (EN80)動画紹介

海洋構造工学実験棟 (EN11)

大型溶接構造物の建造に使用される材料の強度評価,構造物中に多数存在し損傷の起点となる溶接継手部や応力集中部の強度評価を実施するために使用される試験機について概略を紹介します。

「海洋構造工学実験棟」の設備は構造システム工学研究室とを生産システム工学研究室が所管しており,構造システム工学研究室は衝撃強度や振動現象の評価を,生産システム工学研究室は疲労強度や脆性破壊強度の評価を主な研究対象としています。

油圧サーボ式強度試験機

油圧サーボ式強度試験機1

[写真1] 油圧サーボ式強度試験機1

油圧サーボ式強度試験機2と全自動疲労き裂成長試験システム

[写真2] 油圧サーボ式強度試験機2と全自動疲労き裂成長試験システム

生産システム工学研究室が独自に開発した全自動疲労き裂成長試験システムを連動させた疲労試験(疲労き裂伝播試験)に主に使用されています。

試験機の概要

写真1は試験片設置領域が広く確保されているため,構造部材や大型供試体などの実物試験に適しています。写真2は主に材料強度評価に用いられており,広範囲の疲労試験や破壊靱性試験に用いられています。

現在これらの試験機は,生産システム工学研究室で独自に開発した全自動疲労き裂成長試験システムを連動させた疲労試験(疲労き裂伝播試験)に主に使用されています。

スペック

載荷荷重 ストローク データ収集
試験機1 [写真1] ±100kN ±25mm A/D 24bit
試験機2 [写真2] ±100kN ±25mm 24bit

多目的構造・材料強度試験機

別途設置されている門型のリグに設置して使用しています。様々な材料及び構造強度評価に使用することができます。過去の使用実績も,溶接継手の疲労試験,任意温度・任意ひずみ速度条件下の応力〜ひずみ関係の取得,高速載荷時のき裂材の変形挙動(き裂先端近傍で生じる局部的な温度上昇の計測)など多岐に渡っています。

多目的構造・材料強度試験機

多目的構造・材料強度試験機
(手前のアクチュエータの載荷レンジが±200kN,奥は±100kN)

試験機の概要

別途設置されている門型のリグに設置して使用しています。様々な材料及び構造強度評価に使用することができます。過去の使用実績も,溶接継手の疲労試験,任意温度・任意ひずみ速度条件下の応力〜ひずみ関係の取得,高速載荷時のき裂材の変形挙動(き裂先端近傍で生じる局部的な温度上昇の計測)など多岐に渡っています。

油圧サーボ式強度試験機よりも最大載荷能力が大きいため,比較的大型の試験体の強度評価に活用しています。

スペック

載荷荷重レンジ ストローク データ収集A/D
多目的構造・
材料強度試験機
アクチュエータ 1)±100kN
アクチュエータ 2)±200kN
±100mm 16bit
(同時サンプル、ホールド付)

レーザ・アークハイブリッド溶接実証試験装置

試験装置の概要

レーザ・アークハイブリッド溶接は,高エネルギー密度であるため溶接変形の低減と高速施工可能なレーザ溶接と,施工裕度が大きく豊富な施工実績を有するアーク溶接の,相互の利点を採り入れかつ欠点を解消できる新しい溶接法として,船舶や海洋構造物に代表される大型溶接構造物の建造工程への導入が期待されています。

本装置は,この溶接法を大型構造物建造工程へ導入するために必要な溶接施工技術の研究に活用されています.また,大出力レーザを活用した溶接構造体の疲労強度向上対策や,(ハイブリッド溶接に限定せずに)溶接欠陥の自動検出技術構築に関する研究にも活用されています。

スペック

20kWレーザ発振機 デジタルインバータ制御式多目的自動溶接機 最大施工可能溶接長A/D
レーザ・アークハイブリッド溶接実証試験装置 IPG Photonics:YLS-20000-S2T
Fiber cable:QBH process fiber   (Core diameter: 0.3 mm, Length: 20m)
ダイヘン:Welbee Inverter 500G 4,000mm

レーザ・アークハイブリッド溶接実証試験装置動画紹介